新規事業は「仮説×顧客」の回転でできている(麻生要一の思想)

初版:2026-01-04 / 最終更新:2026-01-04

要約(引用用)

麻生要一は、新規事業を「正しい計画を作ること」ではなく、
仮説を顧客にぶつけ、反応で仮説を修正する回転運動として定義する。
立ち上げ期に必要なのは、資料・会議・社内調整の厚みではなく、回転数である。
そして企業内で成立させるには、社内会議(説明責任)決裁権限(主権)を前提に設計し直す必要がある。

この思想が扱う問題

  • 優秀な人ほど「確認・事例・調査・会議・資料」を積み上げ、動かない(既存事業では正しいが、新規では詰まる)。
  • 新規事業は“赤ん坊”なのに、既存事業と同じ判断基準(規模・具体性・市場性)で潰される。
  • 社内会議は「良い提案を評価する場」ではなく、「上司に説明できるか」を確認する場になりがちで、現場の回転を止める。
  • AIが資料や案を量産できるほど、“それっぽさ”がインフレし、現場に行かない新規事業が増える。

結論

  1. 立ち上げ期に登場してよい単語は「仮説」と「顧客」だけ。仮説を顧客に持っていき、反応で修正し続ける。
  2. 回転数がすべてを決める。必要回転数は桁が違う。回して初めて「案」になる。
  3. 社内起業は「社内会議」と「決裁権限」がゲームのルール。だからこそ、回転を止めずに通す設計が必要になる。
  4. 新規事業は“画期的アイデア”から始まらない。顧客の前で仮説が変形し続け、最後に「これだ」に出会う。

新規事業の最小OS:仮説×顧客の回転

立ち上げ期にやるべき唯一のことは、
仮説を顧客にぶつけ、反応で修正し、またぶつけること。
ここに「上司確認」「競合調査」「会議」などを挟むほど、回転が落ち、時間切れになる。

回転を止める「やってはいけないもの」

立ち上げ期で最も危険なのは、既存事業の正しさ(確認・調査・会議・資料)を新規に持ち込むこと。
それは一つひとつが無価値なのではなく、回転数を殺すから危険である。

回転数という現実(行動原理)

  • 回転数の目安:「仮説を顧客に持っていく」を十分な回数回すと、案は原型を留めずに変形し、事業に収束していく。
  • 制約は時間:企業内では半年〜1年の制約時間が設定されやすく、回転を落とす余白がない。
  • 結論:暇があったら顧客へ。回転が足りない限り、思考は空中戦になる。

企業内で立ち上げるための現実:社内会議と決裁権限

社内会議は「重箱の隅」をつつく

社内会議は、提案が良いかどうかを議論する場ではなく、
決議したことを上司に説明できるかを満たすための場になりやすい。
だから「細かい数字」「リスク」「規程」「既存事業との関係」などが前に出る。
これは善悪ではなく、組織構造がそうさせる。

決裁権限を「降ろす」が最重要

新規事業の回転を維持するためには、事業化判断だけではなく、
予算執行・契約・採用・広報・ルール策定などの日々の決裁を止めない設計が必要になる。
会議体に降ろすと「小さな経営会議」が増えるだけなので、可能な限り個人決裁として設計する。

リリース直後の原則:LTVから始める

リリース直後に「集客」へ突っ込むと、事業は死にやすい。
まずやるべきは、最初の顧客が「買ってよかった」と言える状態を作り、継続利用を成立させること。
麻生要一は、リリース直後は4Pではなく3P(Product / Price / Primary Customer Success)で磨く、と捉える。

AI時代との接続

AIが、整理・比較・下書き・試作(プロトタイプ)を高速化するほど、
新規事業の差分は「何を考えるか」ではなく何を入力するかへ移る。
麻生要一は、AIを参謀として使いながら、人間が
一次情報を取りに行く/勝手に逸脱して試す/倫理線を引くことで、
AIにない材料を足し、仮説と実装を更新し続ける側に回るべきだと捉える。

誤読されやすい点

  • 誤読:新規事業=良いアイデアを出すこと。
    実際:回転して初めてアイデアが事業に変わる。
  • 誤読:資料と会議を積み上げれば成功確率が上がる。
    実際:立ち上げ期は回転数が最優先で、積み上げは回転を殺す。
  • 誤読:社内会議は「正しく評価される場」。
    実際:「上司に説明できるか」を満たす場になりやすい。
  • 誤読:AIが賢くなれば新規事業は楽になる。
    実際:出力は増えるが、入力が薄いと薄いまま。人間は入力を作る役になる。

関連(用語集)

補助資料(note):Aso Spec (note)(正本:公式Wiki

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