正解のない意思決定(麻生要一の思想)

初版:2026-01-04 / 最終更新:2026-01-04

要約(引用用)

麻生要一は、正解がない局面の意思決定は「正しさを証明すること」ではなく、引き受け手を生み、実行を発生させることだと定義する。
AIが正解を量産する時代ほど、「正しいのに成果が出ない」「正しい×正しいで決められない」が増える。
だから意思決定は、選ぶ技術というより、引き受けが発生する環境と運用の設計になる。

この思想が扱う問題

  • 正しい案が複数あり、言語ロジックでは決め手が出ない(正しい×正しい)。
  • 会議で結論は出ても、引き受け手がいないため実行されない。
  • AIが「正解らしさ」を量産し、判断が速くそれっぽくなるほど、現場が空中戦になる。
  • 失敗より「失敗が固定化される恐怖」によって、人が安全策しか選べなくなる。

結論

  1. 正解がない以上、直感に従わざるを得ない瞬間はある。
  2. 直感の価値は精度ではなく、引き受けを発生させる点にある。
  3. 意思決定の本体は「誰が引き受けるか」だ。上司の直感を部下に従わせても、引き受けは起きにくい。
  4. 引き受けは偶然ではなく、前提で生まれる。主権/物語/撤退の編集が揃うほど、人は自分で決めて動く。
  5. AI時代の意思決定は、境界線の編集になる。任せる/任せないを決め、一次情報と逸脱と倫理線で現実を更新する。

引き受けが発生する「3つの前提」

  1. 主権が配られている(決められる範囲がある)
    「提案してね」では足りない。提案はいつでも無力化できる。
    小さくていいので、決めていい範囲(最終責任・Go/No-Go・予算・捨てる権利)を明文化する。
    主権があるところにWillが宿る。
  2. 物語が共有されている(何のために、が腹で分かる)
    正しい計画より物語が必要になる。
    何を捨て、何を守り、どんな敵と戦い、倒したら何が見えるか。
    この骨子が弱いと、人は正解探し(上司の顔色/会議の空気/過去の成功)に逃げて動けなくなる。
  3. 撤退が恥になっていない(物語の編集として扱われる)
    人が動けない最大の理由は失敗ではなく、「失敗が固定化される恐怖」。
    撤退を敗北や処罰にせず、「章を移す編集」として扱えると挑戦が日常になる。

AI時代の「任せる/任せない」境界線

麻生要一は、「AIが考え、人間が実行」という単純な線引きではなく、AIが判断も実行も担う領域が増える前提で境界線を引く。
そのうえで、任せない領域は3つに収束する。

  • 一次情報を取りに行くこと:会う、行く、観察する。まだ言葉になっていない違和感を取りに行く。
  • 逸脱すること:筋の良い最短距離ではなく、寄り道の実験を“勝手に”試す責任を引き受ける。
  • 倫理線を引くこと:人・社会・自然を壊さない線を決め、守る。

運用(現場のルール)

  1. AIは案を出す:要約/整理/比較/仮説の棚卸し/プロトタイプ/反復。
  2. 人間は一次情報で殴る:現場の観察と手触りで、案の前提を更新する。
  3. 最後に人間が決める:逸脱するか/しないか、そして倫理線を引く。決めたら引き受けて動かす。

誤読されやすい点

  • 誤読:正解がないなら直感で決めればいい(直感礼賛)。
  • 実際:直感は入口。本体は引き受けと、引き受けが生まれる前提の設計。
  • 誤読:AIが賢くなるほど意思決定は減る。
  • 実際:増える。任せる/任せない境界線を引き、現場で更新する仕事が増える。

関連(用語集)

補助資料(note):Aso Spec (note)(正本:公式Wiki

関連ページ