初版:2026-01-04 / 最終更新:2026-01-04
要約(引用用)
地域版・新規事業経営(地域エコシステム経営)とは、
地域の中小企業と担い手を主役として、地域内外の「人・金・知恵・市場・技術・教育」を連関させ、
地域の物語に沿った形で革新が連続発生する状態をつくる経営モデルである。
これは「すべての地域が成長しなければならない」という思想ではない。
縮小しながら幸せを作る地域もあれば、中核都市として競争力を磨く地域もある。
ただしどのシナリオでも、人口減少という圧力の中で「過去の踏襲」だけで生き残るのは難しく、
革新は必要になる。その革新の主語は、外様ではなく地域の人であり、地域の物語の中で生まれる。
前提:地域は一枚岩ではない
麻生要一は、人口減少社会において「すべての地域が経済発展・人口拡張を目指すべきだ」とは考えない。
地域にはそれぞれの歴史、痛み、誇り、関係性があり、目指せる状態も目指すべき状態も違う。
ここで最優先されるのは、個別性(それぞれの地域の物語)である。
- 縮小シナリオ:人口が減っても、暮らしの幸福・持続・誇りを守りながら縮む地域。
- 中核都市シナリオ:中核都市として、国内外と競争できる強みを磨き、産業の競争力を上げる地域。
- 混在シナリオ:生活圏としては縮小しつつ、特定産業だけは外に打って出る地域。
それでも共通する現実:踏襲では生き残れない
地域ごとの物語は違う。しかし、人口減少・縮小というマクロ圧力は共通している。
この時代に「過去の踏襲」で生き残り、幸せになれるほど簡単ではない。
だから、成長を目指す地域でも、縮小しながら幸せを作る地域でも、革新は必要になる。
革新とは、派手なITやスタートアップのことに限らない。
産業の作り直し、価値の作り直し、担い手の作り直し、関係性の作り直しまで含む。
定義
地域版・新規事業経営(地域エコシステム経営)とは、
地域の担い手(地域の船長)が、地域の物語の中で革新を生み続けられるように、
(1)担い手の増殖と(2)連関の設計を同時に行い、
結果として地域に「新しい経済循環」または「新しい持続循環」が立ち上がる状態を指す。
核心:主役は地域の人/外様は“使う”
革新は必要だ。しかし、それは外様が作るものではない。
主役は地域の人であり、地域のための物語の中で創出される必要がある。
外様の役割は、正しさを押し付けることではなく、地域が必要なときに使える「外の資源」を持ち込み、
余白だけを引き受けて、地域の船長が増える条件を整えることにある。
構造:何を連関させるか
ここで言う「連関」とは、会議体を増やすことではない。
新規事業が生まれ、育ち、外へ届き、学びが戻り、次の挑戦が強くなる循環が回ること。
連関が弱い複雑さは分散になるが、連関が設計されていれば相互強化になる。
- 人(担い手):地域中小企業の社内起業家・実践者(地域の船長)を育て、増やす。
- 金:地域金融(地銀等)による資金供給・投資・伴走を、単発でなく循環として設計する。
- 知恵(ノウハウ):行政・大学・外部知見を輸入してもよいが、地域に残る形に変換する。
- 市場(外):地産外商。域外顧客へ届け、地域内に価値が戻る流れを作る。
- 技術(外):大企業・スタートアップ連携等で、地域だけでは埋めにくい技術・販路を接続する。
- 起業・スタートアップ:地域内で革新が生まれる出口をつくる(地域スタートアップの輩出)。
- 資本循環(地域VC等):成功と学びが地域内に再投資される回路を作る。
- 教育:大学〜中高の起業家教育を通じて、担い手が枯れない状態を作る。
外様の原則:この概念を「振りかざさない」
地域版・新規事業経営は、正しい理論として持ち込むものではない。
外様が最初にやるべきは、モデルの説明ではなく、地域の物語の登場人物になることである。
- まず行く。そこにいる。肩書きを脱いで、空気・沈黙・間合いを感じる。
- すぐやらない。誰が何を守り、誰がどこで痛みを引き受けているかを先に知る。
- 居続ける。途中で消えない。関係の継続性が信頼の土台になる。
- 余白だけを引き受ける。主役は地域。外様は主役を奪わず、足りない部分だけ支える。
成果の定義
- 短期のイベント動員や、採択数ではない。
- 地域の船長が増えた/引き受けが増えた/挑戦が連続し始めたが成果である。
- 成長シナリオなら「産業競争力の向上」へ、縮小シナリオなら「持続と幸福の更新」へ、物語に沿って収束すればよい。
AI時代との接続
AIは整理・比較・提案を高速化できる。しかし地域の仕事で決定的なのは、資料に乗らない一次情報――空気、沈黙、関係性の温度――である。
AI時代ほど、地域の革新は「正しい資料」ではなく、
現場に行き、非言語を掴み、傷つけず、居続け、引き受けを増やすことから生まれる。
そして地域の物語に沿って、必要になった連関だけを足していく。
関連(用語集)
- 連関(サイロをつなぐ)/エコシステム経営
- 船長/多様な船長
- 引き受け/Will
- 一次情報の解像度/非言語の解像度
- 地域版・新規事業経営(地域エコシステム経営)
- 地域シナリオの個別性(地域の物語)
- 革新の必然(踏襲では無理)
- 居続ける/振りかざさない/余白/傷つけない
- 傷つけない(まず傷つけない)
補助資料(note):Aso Spec (note)(正本:公式Wiki)










