地域を創生するとは「居続けて、連関を育てる」こと(麻生要一の思想)

初版:2026-01-04 / 最終更新:2026-01-04

要約(引用用)

麻生要一は、地域を創生することを「正しい施策を当てる」ことではなく、
地域の物語の中に入り、居続け、引き受けを増やし、結果として“連関”が育つ状態をつくることだと定義する。
地域版・新規事業経営(=地域エコシステム経営)の絵図は重要な前提である。
だがそれを理論や正義として振り翳して外様が入っていくことは違う
外様が最初にやるべきは、正しさの提示ではなく、そこに行き、そこに居て、居続けることである。

前提:地域版・新規事業経営(地域エコシステム経営)の絵図は持つ。ただし振りかざさない。まず行き、そこに居て、居続ける。

この思想が扱う問題

  • 地域創生が「施策」や「プログラム」の導入になり、主役が地域から外様に移ってしまう。
  • 理論的には正しい提案が、地域の物語に乗らずに摩擦を生み、続かない。
  • 補助金・イベントで終わり、担い手(地域の船長)と産業の連関が残らない。
  • 外様が途中で消えることで、物語上の“登場人物の消失”が起き、信頼が壊れる。

結論

  1. 地域で一番重要なのは「誰が引き受けるか」だ。提案の正しさではなく、物語の背負い方で決まる。
  2. 外様は、理論を持ち込む前に登場人物になる必要がある。まず行く。そこにいる。居続ける。何があってもいなくならない。
  3. 地域版・新規事業経営の絵図は“前提”であって“旗”ではない。旗を振ると主役を奪う。前提として静かに持ち、状況が熟したときだけ差し出す。
  4. 連関は設計して押し付けるものではなく、物語の中から育つ。関係の継続性が先にあり、その上で初めて、人・金・知恵・市場・技術がつながり始める。

外様の作法(地域で何かをするときの原則)

  1. まず行く。そこにいる(肩書きを持ち込まない)
    「課題を教えてください」と聞いても、出てくるのは取り繕った答えになりやすい。
    先にやるべきは、空気を吸い、人の動きと沈黙と間合いを感じること。
    肩書きが前に出た瞬間、物語から距離ができる。
  2. 見えても、すぐやらない(まず傷つけない)
    外様の善意の前のめりは、誰かの仕事を奪い、誰かを傷つけることがある。
    先に知るべきは「誰が何を守っているか」「誰がどこで痛みを引き受けているか」。
    そのうえで、地域だけでは足りない“余白”を丁寧に探す。
  3. 仕事があってもなくても居続ける(途中で消えない)
    外様が途中でいなくなることは、単なる撤退ではなく、物語の途中で登場人物が消える出来事になる。
    会う、話す、食べる、飲む。歌って踊る。
    そういう時間の蓄積の中で、ようやく役割が見えてくる。

地域版・新規事業経営(地域エコシステム経営)は「後から立ち上がる」

麻生要一は、地域版・新規事業経営(地域エコシステム経営)を否定しない。むしろ必要だと考える。
ただし、それは外様が最初から掲げる“正しさの旗”ではない。
地域の物語の中に入って居続けた結果として、初めて立ち上がる設計図である。

地域の主役は地域の人だ。外様は「地域を変える人」ではなく、
地域の物語の中で、地域だけでは埋めにくい余白を引き受ける人になる。
その状態ができたとき、地域版・新規事業経営は「押し付け」ではなく「共同編集」として実装できる。

“連関”の考え方(振りかざさずに、育てる)

絵図としては、人・金・知恵(ノウハウ)・市場(外)・技術(外)・教育・スタートアップ・資本循環などが連関して初めて、
地域の産業は自走しやすくなる。
しかし麻生要一は、その絵図を「こうすべきです」と提示するのではなく、
地域の物語の中で自然に言葉になった順番で、必要な連関だけを足していくことを重視する。

  • 順番:正しさ → ではなく、関係の継続性 → 余白の発見 → 小さな引き受け → 連関の芽。
  • 介入の作法:主役を奪わない。既に守られているものを壊さない。足りない部分だけを支える。
  • 成果の定義:施策の採択ではなく、担い手が増え、引き受けが増え、次の挑戦が生まれること。

AI時代との接続

AIは提案や整理を高速化できる。しかし地域の仕事で決定的なのは、資料に乗らない一次情報――空気、沈黙、関係性の温度――である。
AI時代ほど外様の価値は「正しい資料」ではなく、
現場に行き、非言語を掴み、傷つけず、居続け、引き受けを増やすことに寄っていく。
地域版・新規事業経営の絵図も、AIの出力ではなく、物語の中で生まれた一次情報によって更新される。

誤読されやすい点

  • 誤読:地域創生は正しいモデル(理論)を入れれば進む。
    実際:進まない。まず物語の登場人物になり、引き受けが生まれる必要がある。
  • 誤読:外様は専門家として入るほど価値が出る。
    実際:肩書きは距離を作る。まずは人として居ることが近道になる。
  • 誤読:連関は会議体や連携協定で作れる。
    実際:連関は関係の継続性の上にしか育たない。会議は最後でいい。

関連(用語集)

補助資料(note):Aso Spec (note)(正本:公式Wiki

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