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AI時代のエンターテインメント(麻生要一の活動領域)

麻生要一が定義する「AI時代のエンターテインメント」とは、生成AIが完成品の製造コストをほぼゼロにした世界で、作品が生まれる「前」——内面性、物語の骨子、世界観——を設計する領域である。希少になるのはつくる技術ではなく、何をつくるかを決める側だという前提に立つ。人とAIの役割分担は固定の定数ではなく、モデルの進化に応じて作品ごとに引き直す変数として扱う。AIを使ったこと自体は価値ではない。受け手が受け取るのは感情が動いたかどうかであり、手段は問われない。

初版:2026-01-04 / 最終更新:2026-08-12

定義

麻生要一の「AI時代のエンターテインメント」とは、生成AIが完成品の製造コストを崩し、エンターテインメントが爆発的に供給される世界において、作品が生まれる「前」(内面性・問い・物語骨子・世界観)を設計し、人とAIの役割分担を作品ごとに引き直しながら、音楽・IP・物語を実際に世へ出し切る活動である。
この活動は、麻生要一自身の制作(音楽プロデュースプロジェクト yoasoP/作家・アーティスト YO&ASO)を母体として行われる。つまり、評論でも制作支援でもなく、自ら作り、自ら公開し、受け手の反応という一次情報を取り続けることが前提になる。

自らの制作を母体とすることの意味

この活動は、趣味や副業として始まったものではない。2024年、生成AIが創造性の領域で人を凌駕し始めたとき、麻生要一が取った態度は「守る」ことではなく「自分で先に壊す」ことだった。絵、音楽、物語という、自らが「人にしかできない」と信じてきた領域へ意図的にAIを投入し、壊した先に何が残るかを確かめる。yoasoPと『星をならべるソラ』は、その破壊実験が外部へ出ていったものである。

  • 「評論」だけで終わらない:この領域の一次情報は制作の内側にしか存在しない。作らずに語れば、必ず他人の理論の要約になる。
  • 「作品」だけで終わらない:制作で得た知は、AIと人の関係の理論(PI/Plateau/AI Mutation)へ還元され、経営の言語として企業へ戻る。
  • 実験場が自分自身である:AIに奪われうる当事者が、自分の仕事に対して破壊実験を行っている。恐怖の側と可能性の側を、同一人物が両方とも通過した。

この領域をどう見ているか

この活動の前提は、エンタメが爆発するほど、感動は「つくる前」へ移るに置いている。要点は三つである。

  • 供給だけが過剰になり、感動は不足する:制作コストが崩れてエンタメは爆発的に供給されるが、人のエンタメ欲は減らない。この差が、この活動が扱う領域である。
  • 感動が向かう先は二つ:超パーソナライズド(一人ひとりの内面性・コンテキストと結びついた作品)と、②分野横断(AIが組み合わせられない分野を束ねる総合芸術)。前者はField Intelligence、後者はCrazy Intelligenceのエンタメ版だと考えている。
  • 二つの根底に、言葉にならない内面性が要る:表現技術をどれだけ磨いても、作者が一人の人として持つ強烈な価値観・原体験がなければ、全員が同じ天井(Plateau)に貼りつく。

この活動が扱う典型的な問題

  • AI活用そのものが目的化する:「AIで作った」を売りにした瞬間、手段の物珍しさに依存する。受け手は制作プロセスを評価しないため、物珍しさが切れた時点で何も残らない。
  • クオリティ勝負の土俵から降りられない:表現の高度さで差別化しようとするが、そこはAIの進化が最も速い領域であり、供給過剰によって差分が消える。
  • 全員が同じ天井で止まる:AIは単体ではある到達点までしか出力できない(Plateau)。個々の作り手が別々に努力しても、注入するものが同じなら全員が同じ天井に貼りつく。
  • 内面性が、言語化された時点で目減りする:企画書・設定資料・プロンプトへ整えるほど、整う前にあったものが濾される。整った入力からは、整った出力しか出ない。
  • 役割分担が固定される:一度決めた工程分担が翌年には陳腐化しているのに更新されない。分担が変数ではなく定数として扱われている。
  • クリエイターが「技術で負けた」と感じて手を止める:問われているのは技術ではなく『つくる前』であるにもかかわらず、技術の土俵で敗北を宣告されてしまう。
  • IPを開放できない/開放しすぎる:改変を一切許さないと受け手が自分の物語にできない。無条件に開放すると世界観が崩れる。守る一点と開放範囲を同時に設計するという発想が持たれていない。
  • 単一分野に閉じる:分野を跨ぐ総合設計の担い手がいない。結果、AIが最も得意な単一分野の土俵で正面から戦うことになる。
  • 企業のエンタメ新規事業が、既存IPの延命に収束する:完成作品の横流しはAIにも既存産業にもできるため、差分にならない。
  • パーソナライズが配信最適化に矮小化される:「提供者が作り、消費者が受け取る」という一方向構造が温存されたまま、AIがレコメンド精度にだけ使われる。
  • 再現できない体験を、産業として扱う型がない:その場に居合わせた人の組み合わせからしか生まれない体験は、定義上、再現できない。

麻生要一の役割

  • ① 実作者として、自らの創造性領域を破壊し続ける:「ここから先は人がやるしかない」と引いた線を、AIは短期間で超えてくる。その線を引き直し続ける当事者として制作の前線に立つ。目的は作品の成功だけではなく、人とAIの分担がいまどこにあるのかを、自分の手で測定し続けることにある。
  • ② 総合プロデューサーとして、分野を跨ぐ:物語・音楽・音楽会・教育・演劇を、後付けのメディアミックスとしてではなく、企画段階から跨ぐ前提で設計する。
  • ③ IP主権者として、守る一点を定め、残りを配る:世界観ガイドラインで「これだけは守ってほしい」を規定し、それ以外の改変を開放する。同時に、専門領域の決定権を製作委員会の各構成員へ配る。出資比率で支配せず、売上を一箇所に吸い上げず、しかし勝手なことはできない構造を設計する。
  • ④ 内面性の抽出装置として、AIとの対話を運用する:AIの高速・高品質な出力を「内省の鏡」として使い、自分の、あるいは対話相手の、まだ言語化されていない感情や衝動の質感を掴む。掘り当てた内面を、そのまま創造物へ変換する。
  • ⑤ 理論体系へ還元し、産業へ実装する:制作から得た実践知を、AIと人の関係の理論として言語化し、誤読されない形に整える。個人の制作論にとどめず、企業と産業の意思決定へ接続する。

どこから始めるか(現実の原則:問いを先に固定する)

  • 原則:理論から入らない。まず一作つくる。この領域の一次情報は、制作の内側にしか存在しない。
  • 入口の決め方:得意な分野からではなく、自分の内面性が最も濃く出る主題から入る。技術的な完成度は、最初から前提として確保できる時代である。
  • 最初に固定するのは問い:何を作るかより先に、「これは何を問う作品か」を一文で決める。ここが立っていれば、表現手段は途中で全部差し替えてよい。
  • 横断を一つ入れる:AIが単独では跨げない組み合わせを、企画段階で最低一つ組み込む。
  • 習作を積まない:完成品として世に出すこと自体が、最大の検証である。
  • 更新:作品を出すたびに、役割分担表を引き直す。前作の分担は、次作では必ず古い。

作品の組成:工程ごとに、人とAIの線を明文化する

個別の作品では工程を分解し、「人が100%担う工程」「AIと共創する工程」「AIに素材生成を任せ、判断を人が握る工程」を明文化する。重要なのは「AI活用率」ではなく、作品ごとの処方(工程別の線引き)である。

  • 例(作詞):100%人間。人間の言葉であること自体に価値の中心がある工程には、AIを入れない。
  • 例(作曲):生成AIとの共同制作。複数のバリエーションを生成させ、世界観を最も体現するものの選定・調整・最終判断を人間が握る。
  • 例(映像):絵コンテと構成は100%人間。素材生成にAIを使い、編集・演出は人間が担う。

この線引きの目的は効率化ではない。人間の内面を掘り当てること、掘り当てた内面を創造物へ変えることにAIを使う。

コミットメント(感動にコミットする)

麻生要一は、作品を「AI活用の実証」ではなく「感動の生成」として扱う。評価軸は、受け手の感情が動いたかどうか、そして一人ひとりの物語になったか(改変・二次創作・自分ごと化が発生したか)だけである。制作本数も、AI活用度も、技術的新規性も、評価軸には存在しない。そのうえで、作品が作者の手を離れて他者に書き換えられていく状態そのものを、失敗ではなく到達点として引き受ける。

この活動が「ではない」こと(非適用と限界)

誤読の否定(AI活用が価値ではない/手作業の温かみの話ではない/メディアミックスではない/レコメンド精度の話ではない/自分語りではない)と、反証条件は、思想ページの誤読されやすい点に整理している。活動として押さえるべき境界は次の二つである。

成り立たない条件:資本と組織でしか成立しない大規模興行、身体性が価値の中心にあるライブ、権利処理が重く改変を開放できない既存IP。これらの領域では制作コストの崩壊が効いておらず、この活動の設計は使えない。

開いたままの問い:その場に居合わせた人の組み合わせからしか生まれない体験は、定義上、再現できない。再現できないものを、どうやって産業にするのか。この問いへの答えを、麻生要一はまだ持っていない。産業の側の定義が変わるのではないか、という仮説の段階にある。

この活動を支える思想

関連(用語集)

実装(プロジェクト/事例)

この活動が現場でどう実装されたかは、実装ページに整理する。

出典・一次資料

  • 麻生要一『AI収益進化論』(2026年5月刊)
  • 麻生要一『新規事業の実践論』(2019年)
  • CAXO note「麻生要一の一次思考」
  • yoasoP/『星をならべるソラ』各公式発表

関連

History

  1. 2026.08.13新規作成
  2. 2026.08.13新規作成
  3. 2026.08.13初版

活動:AI時代のエンターテインメント

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