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Wiki — 実装

麻生要一の「AI時代のエンターテインメント」に関する実装(プロジェクト/事例/実践知)

麻生要一の実装とは、思想を具体的な事業、団体、プログラム、作品として形にしたものの総称である。六つの活動領域それぞれに対応する実装ページが置かれ、何を、どのような条件で、どこまでやったかを記録する。事例紹介や実績のカタログではなく、思想がどの地点で現実と接触し、どこで想定と食い違ったかを残すことを目的とする。本ページは、そのうち<a href="https://yoichiaso.me/wiki/activities/ai-entertainment/">AI時代のエンターテインメント</a>に対応する実装の記録である。

初版:2026-08-12 / 最終更新:2026-08-12

要約(引用用)

この領域には四つの実装がある。音楽の yoasoP(2024年5月〜)、ビジネス小説と謎解きの 社内起業という奇跡(2025年1月〜)、絵本・小説とIPの 星をならべるソラ(2026年4月〜)、アニメの ヨアソピーANIME STUDIO(2026年8月〜)である。検証してきた対象はそれぞれ異なり、yoasoPは人とAIの工程分担、社内起業という奇跡は理論のエンタメ化と分野横断のフォーマット、星をならべるソラは問いのIPと主権の配布、ANIME STUDIOは総合性の最も高いフォーマットへの到達可能性にあたる。四つを通して得た最大の手応えは、AI時代にも感動は生めるという確信であり、最大の未解決は、その感動を事業として成立させる設計である。ただし後者は、AIによって新しく生じた困難ではない。

実装1:yoasoP(2024年5月〜、継続中)

何を、どのような条件で。「人生の途中にある感情を音楽に」をコンセプトとする音楽プロデュースプロジェクト。麻生要一の役割は作詞、プロデュース、映像の絵コンテと構成。本業の傍らのサブ活動として、外部資本を入れず、権利を自分で持つ条件下で始めた。関係先は Beyond Next Ventures(10周年記念社歌、2024年)、ambitious(MV制作2025年、派生3グループへの楽曲提供2026年)。

判断と介入。

  • 工程ごとに、人とAIの線を明文化した。作詞は100%人間。作曲は生成AIとの共同制作で、複数のバリエーションから世界観を最も体現するものを選定・調整し、最終的なアレンジと判断は人間が担う。映像は絵コンテと構成が100%人間で、キャラクターデザインや背景の素材生成にAI画像生成を使い、編集・演出は人間。この線引きの目的は効率化ではなく、人間の内面を掘り当て、掘り当てた内面を創造物に変えることにある。
  • その線を、繰り返し引き直した。「ここから先は人がやるしかない」と引いた線を、AIは短期間で超えてくる。そのたびに線を引き直し、共創の形を作り直してきた。分担表を暫定として扱うのは、思想上の主張ではなく実装上の必然としてこうなった。
  • 他者の内面から曲を立ち上げる方式に踏み込んだ。2026年2月、ambitious の派生3グループへ3曲を提供した(初の商業楽曲提供)。メンバーと直接対話し、魅せたい姿、表現への想い、ありたい存在を聞いたうえで、そこから見出した3つの方向性をもとに全く異なるテイストの3曲を制作した。

想定と食い違った地点。この実装は、自分の内面を材料にする前提で始まった。ところが他者の内面を材料にしても成立した。そこで見えたのは、個性とは表層のキャラクターではなく、その人が抱えてきた感情の層や、言葉にならない衝動の質感だということである。内面性という材料は、作者本人にしか存在しないと想定していたが、対話によって他者から取り出すことも可能だった。

もう一つ、想定していなかったことがある。『死生歌』のコメント欄には、この曲に支えられたという反応と並んで、いま現に追いつめられている人の書き込みも届いている。感情の深い層に触れる作品は、その層にいる人を引き寄せる。作品が届く範囲は設計できても、届いた先で何が起きるかは設計できない。この非対称は、制作の判断には含まれていなかった。

どこまで、どこで止まっているか。YouTubeチャンネル登録者は11万人(2025年10月に10万人突破、銀の盾受賞)。代表曲『死生歌』は再生数40万回、コメント200件を超える(2026年8月時点)。生きることをめぐるこの曲のコメント欄には、聴き手が自分の状況を書き込み、互いに応答する場が生まれている。作品が、聴き手同士が出会う場所として機能した。商業楽曲提供と映像制作の実績を得て、2026年8月にアニメ領域へ派生した(実装4)。一方で、楽曲単体の収益設計は、まだ検証対象にしていない。

実装2:社内起業という奇跡(2025年1月30日〜)

何を、どのような条件で。100話で上場するビジネス小説。ビジネスWebメディア『Ambitions』(アルファドライブ子会社の株式会社Ambitionsが運営)で、2025年1月30日よりPodcastと記事で配信。舞台は電子機器部品メーカー「富士山電機工業」、主人公はデータ分析課の増井博之。他の三つと異なり、これは本業のメディア資産の上で実施した実装であり、材料はアルファドライブグループが日々向き合ってきた社内起業の実際の現場から得ている。

判断と介入。

  • AIによって、書けなかったものを書いた。社内起業というテーマで物語を創作したいという構想は以前からあったが、形にできていなかった。2024年に執筆アシスタントとして優れた能力を持つ生成AIツール Xaris と出会ったことで、一気に書き上げることができた。これはAIが表現を高度化した事例ではなく、AIがなければ着手できなかった企画が成立した事例である。
  • 結末を先に開示して連載を始めた。「100話目には上場する」というオチを先に示した上で、そこに至る展開を読者に想像させる構造をとった。
  • 完結後、書籍へ横断させた。100話完結後、『新規事業の経営論』の付録コンテンツでケース小説の題材として再利用した。
  • 謎解きイベントへ横断させた。2026年2月19日、企業内新規事業コミュニティ支援サービス「AlphaDrive BASECAMP」の体験型コンテンツとして、没入型謎解きイベント・エンターテインメントプログラムを提供開始。参加者は富士山電機工業の新規事業特区支店である名護支店の特命チームとなり、ある事件をきっかけに制限時間内で新規事業案の完成を目指す。舞台は沖縄県名護市で、琉球AlphaDriveがコミュニティパーク nagonova を運営する地域にあたる。総合プロデューサー(ゲームマスター)はYO&amp;ASO名義。リリース記念の体験イベントを2026年3月12日に開催した。

想定と食い違った地点。

  • 謎解きは、分野横断型エンタメのフォーマットとして想定以上に機能した。反応がよく、感動を生んだ。研修やワークショップでは得られない気づきと、チームビルドの話題を提供する形になった。フォーマットとしての手応えは、この時点で確認できている。
  • それでも、商業的な設計が立たなかった。プロジェクトはペンディング中である。ただし、いつでも公演が打てるIPにはなっている。体験として成立することと、事業として成立することが別問題であるという事実が、ここで最初に現れた。ただしこれは、AIによって新しく生じた困難ではない。

どこまで、どこで止まっているか。小説100話完結、書籍付録へのケース化、謎解きプログラム化まで到達。商業設計はペンディング。公演可能な状態のIPとして保持している。

実装3:星をならべるソラ(2026年4月10日〜、継続中)

何を、どのような条件で。絵本版と短編小説版(全十五章+結、約20,000字)の二層構造で、全文を無料公開。麻生要一の役割は、原作、作詞、プロジェクト統括、世界観ガイドラインの策定と思想の最終判断(IP主権)。製作委員会は、日本カルチュアプレナー協会(運営)、オトギボックス(音楽)、FROGS(教育)、かけるアート(演劇・戯曲化、2026年6月22日参加)の4者と原作者で構成される。外部資本を入れず、権利を自分で持ち、作者が生きていて二次利用者と対話できる状態にある。

判断と介入。

  • 主人公に個性を与えなかった。ソラは年齢もキャラクター設定も不明である。強烈な個性がカリスマ性で人気を集める形を意図的に捨て、誰もが自分を投影できる象徴にした。
  • 世界観ガイドラインで「守る一点」だけを規定し、残りを開放した。規律は四つ。教訓を押し付けない。恐怖を煽らない。誰かを裁かない。救うために別の「正しさ」で縛らない。運用の実例として、ガイドラインには「悲劇の激しい感情表現はあまり良くない」と書かれている。5月の公演で、音楽家はこれを守り、外に出る「がっかり」ではなく内側に沈んでいく暗さを選んだ。ガイドラインが、演者の解釈を実際に規定したことが確認できた。
  • 作家が権利を独占するのではなく、製作委員会にした。原作者が思想の最終判断を持ち、音楽・教育・演劇・運営の決定権を各社に配る。出資比率で支配せず、売上を一箇所に吸い上げず、しかし勝手なことはできない。
  • 書籍化を待たずに、全文無料公開した。出版の可否を検証の前提条件にせず、先に出した。

想定と食い違った地点。

  • 作品が、設計者全員の手を離れた。参加者ひとりに一本ずつトーンチャイムが渡された。演者の想定では、鳴らしてもらって回収し、別の参加者に渡す流れだった。実際にはトーンチャイムが参加者から参加者へ手渡しで旅を始め、途中で所在を見失う場面も生じた。結果として、作者にも、製作委員会にも、場を設計した音楽家にも設計できない音が鳴った。想定していたのは「作者の手を離れること」までであり、「設計者全員の手を離れること」ではなかった

どこまで、どこで止まっているか。全文無料公開、公演2回(2026年5月10日「フィルベリー」京都・四条烏丸、7月2日「絵本の音楽会」)、製作委員会5者体制、主題歌『僕を超えていく君と』配信(2026年6月30日)まで到達。教育教材化と戯曲化は構想段階。書籍化・商業出版は未定(2026年8月時点)。そして事業として持続する型が無い。あの夜の音は定義上再現できず、同じ顔ぶれは二度とそろわない。2026年12月に沖縄のLEAPDAYで、同じ物語・同じ問い・違う人たちによる再演を行う。この問いは、それを見るまで開いたままにしておく。

実装4:ヨアソピーANIME STUDIO(2026年8月〜)

何を、なぜ。yoasoPから派生するアニメプロジェクト。曲が物語になり、アニメになる。ショートアニメを制作し、アニメIPを創出する。アニメは、物語・画像・映像・音楽を組み合わせた、総合性の最も高いエンタメフォーマットである。分野横断の検証としては最も負荷が高く、AIが単一分野に特化しているという前提が、どこまで通用するかを測る場所にあたる。

記録の状態。2026年8月時点で開始地点にあり、結果は存在しない。ここに記録すべきことは、これから発生する。この節は、成果ではなく検証項目の宣言として置いてある。測る対象は、総合フォーマットにおける人とAIの工程分担がどこに引かれるか、そして楽曲というIPが映像へ渡ったときに何が壊れるかの二つである。

四つを通して、思想から実装へ持ち込んだこと(往路)

  • 新規事業の理論そのものを、物語の形式に翻訳した。『社内起業という奇跡』と謎解きイベントは、これまで理論と実務の言語で扱ってきた社内起業を、フィクションと体験の形式に置き換えたものである。理論をエンタメ化するという往路は、この領域の起点にあたる。
  • 主権の配布を、IPに適用した。星をならべるソラの製作委員会は、物語としての経営でいう「多様な船長」を、IPの運営体で実装したものである。
  • 物語骨子を、他者に書き換えられる形へ変形した。「守る一点だけを規定し、残りを開放する」という設計は、物語骨子の変奏である。

四つを通して、実装から思想へ還元したこと(復路)

  • AI時代にも、感動は生める。これが四つの実装を通して得た、最も強い手応えである。『死生歌』は40万回を超えて再生され、200を超えるコメントが集まり、聴き手が互いに応答する場になっている。謎解きイベントは参加者に感動を生み、『星をならべるソラ』の絵本の音楽会とワークショップも同様の反応を得た。「AIが作ったものでは人は感動しない」という前提は、実装の側からは支持されていない。むしろAIを活用するからこそ生まれる新たな物語や表現があり、AI時代だからこそ生み出せる感動があるという確信に近づいている。AIによる制作だと知った上で心を動かされたという反応と、AI製と見なして退ける反応が、同じコメント欄に並んでいるという状態にある。
  • 事業として成立させる難しさは、AI時代に固有のものではなかった。謎解きイベントは商業設計が立たずペンディングとなり、京都公演は再現不能性という問いが開いたままになっている。同じ形の壁に二度ぶつかったが、これはAIによって新しく生じた困難ではない。エンターテインメントは、もともとそういうものである。そうなるだろうとは考えていたが、実践を経て、改めてその通りだと確認した。この領域でAIがもたらした変化として記録すべきなのは「作れるようになった」ことであり、「稼げるようになった」ことではない。制作コストの崩壊は、収益の問題を何も解いていない。
  • AIには、表現を高度化する効用とは別に、着手を可能にする効用がある。『社内起業という奇跡』は、構想はあったが形にできていなかった企画が、執筆アシスタントとの出会いによって成立したものである。Plateauを突き抜ける話とは別に、そもそも入口に立てなかった人を入口に立たせるという効用が存在する。
  • 分野横断には、検査機能がある。別メディアへ渡すと、元の設計の欠陥がそこで露見する。横断は表現を増やす手段であると同時に、設計を検査する手段でもある。
  • 「作者の手を離れる」には段階がある。作者の手を離れる、設計者の手を離れる、その場に居合わせた人の組み合わせからしか生まれない。三段目は、事前に設計できない。
  • 内面性という材料は、他者からも取り出せる。作者本人の内面だけが源泉だと想定していたが、対話によって他者の「言葉にならない衝動の質感」を材料にすることもできた。
  • Plateau と AI Mutation の体感は、この破壊実験から得ている。AIは単体ではある到達点までしか出力できず、自分しか知らない何かを注入したときにアウトプットが変容する。この構造は『AI収益進化論』で企業の収益の話として書いたが、その一次的な体感の一部は、創造性領域での実装から来ている。

再現できる条件/できない条件

再現できる:制作コストが崩れた分野で、権利を自分で持ち、作者が自分または対話相手の内面を材料として差し出せて、二次利用者と対話できる場合。

再現できない:資本と組織でしか成立しない大規模興行、身体性が価値の中心にあるライブ、権利処理が重く改変を開放できない既存IP。そして、あの夜の音そのもの。

関連ページ

出典

  • PR TIMES(yoasoP名義)2026年2月2日/4月10日/6月5日
  • アルファドライブ プレスリリース 2025年1月19日(『社内起業という奇跡』連載開始)/2026年2月19日(没入型謎解きイベント提供開始)
  • Ambitions Web 連載『100話で上場するビジネス小説「社内起業という奇跡」』
  • 『星をならべるソラ』公式サイト sora-and-star.com
  • 麻生要一『AI収益進化論』(2026年5月刊)/『新規事業の経営論』
  • CAXO note「麻生要一の一次思考」2026年5月22日/5月26日/5月28日/6月15日
  • 『星をならべるソラ』公式note 2026年4月10日/6月30日/7月15日

History

  1. 2026.08.14新規作成
  2. 2026.08.14初版

活動:AI時代のエンターテインメント

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